切手の豆知識
スイス切手
1843年、スイスのチューリッヒ州は世界で二番目の切手発行国となりました。
他の州(カントン、ジュネーブ、バーゼル)も続き、スイス連邦として統一の切手が発行されたのは1850年(嘉永3年)です。その後国名のない無目打切手が1862年まで続きます。
無目打切手は全てマーヂンがせまく、ほとんど印面の一部がカットされ、2〜3マーヂンばかりで4マーヂンはたいへん高価です。
国名をHELVETIAと表記した目打入り切手が1862年に発行されました。
HELVETIAは「スイスの母」と呼ばれ、右手に槍、左手にスイス国旗を描く盾を持っています。これはSitting(座った)Helvetia切手と呼ばれています。そして1882年からはStanding(立った)Helvetia切手となります。
1907年以降、ウィリアムテルと息子(Tell boy)が多種発行され、1934年には最初の風景切手7種、翌36年には2次風景切手11種が発行されました。
伝説の偉人9完は1941年、49年建造物12完、60年に有名建築22完とロングセットが続きます。
特殊印刷と変形目打ち
最初にメタリックマルチイメージを使った切手は、平成14(2002)年4月19日発行の「切手趣味週間にちなむ80円郵便切手」です。この印刷技術は偽造防止のために財務省印刷局により開発されました。左の画像は昨年の「切手趣味週間」のもので、見る角度を変えると「PHILATELY WEEK 2011」と「JAPAN POST」の2種類の文字が見えます。また楕円形の目打ちが各辺に1箇所あります。
イギリスの切手にも楕円の目打ちが使われているものがあります。
初日印
切手が使用された事を示すために消印が押されます。これは最初の郵便システムを作ったローランド・ヒルが考案しました。新たに切手が発売されると切手を封筒に貼り、発売日の消印(初日印)を押してもらいます。この「封筒」には切手と関連した絵柄がレイアウトされています。これをFirst Day Cover(ファースト・デイ・カバー)と呼びます。また、切手の絵柄や関係する場所等を写真やイラストにした「絵葉書」を(マキシマム・カード)MCといいます。消印には色々な形があり今回アップしたロアルド・ダールのMC、ロンドン五輪年普通切手MCをご覧ください。ロンドンの消印「E20」や「E15」等は住所のようです、絵柄との関連が解るかも知れません。
珍しい材質で出来た切手
香港では金箔・銀箔を使った切手は以前からありましたが、今年は絹で出来たものが発行されました。また、今年の2月6日ジャージー島でエリザベス女王の即位60周年を記念して発行された切手の中に、王冠に直径1.25mmのダイヤモンドが貼付けられた小型シート(価格は£125.00)があります(発行枚数が少なかったため予約時に売り切れました)。2007年コルクに印刷されたポルトガルの切手。2004年オーストリアのスワロフスキーのクリスタルを貼付けた切手や、2008年のUEFAヨーロッパ・チャンピオンシップで使用されたボールと同じ材質で作られた切手。2011年フランスで発行されたフランス刺繍の切手等、様々な材質で作られた切手が発行されています。
ペニーレッド
世界最初の切手、ペニーブラックは1840年5月6日より使用されました。ローランド・ヒルのアイデアが結実したもので、全国一律1ペニー(1/2オンス迄)の料金は切手で前払いされることになり、再使用を防ぐためにマルタクロスといわれる赤い消印が押されました。
ペニーブラック発行前からローランド・ヒルは再使用を心配していました。発行後ほどなく彼の日記には「あらゆる消印除去手段が試みられている」と記されています。1840年5月から12月にかけて改良案が探られました。切手印刷と消印、両方のインクが問題となりました。切手用のインクは消えやすく、消印用は消えないインク。消印を除去しようとすると切手が毀損されなければなりません。
レインボートライアルと呼ばれ、印刷インクを黒、ライラックローズ、様々な青、緑、そして赤で印刷し、各種薬剤でテストされました。その結果消印に最適のインクは黒のカーボン印刷用インクでした。しかし、黒い切手に黒い消印では判読しにくいため、赤い切手に黒い消印を用いることにして5〜6色の赤いインクで切手を印刷しました。試作品は多くのテストを経て1840年12月30日、ペニーブラックの原板を用いて印刷が始まりました。発売は1841年2月10日でした。
ペニーレッドは以後40年間にわたり400以上のプレートを用い印刷されました。
ペニーレッド復刻版パックには様々な画像が入っています。